読書が好きな私が、今までに読んだ本を紹介するコーナー第4弾。今回の作品は、2014年の書かれたもので、この著者は社会問題を取り上げるのがとてもうまい方。この作品もそういう意味では絶品です。
ホームレスを救うNPO団体や、中高年の1人暮らしの人たちの孤独死を題材にしていた、社会の奥深くに目を向けてもらうように仕向けているかのようなタッチです。読んでいて思わず目を背けてしまいたくなるような、それでもその先が気になり過ぎて、寝る間も惜しんでついつい読み進めてしまう、そんな作品。
誰が犠牲者で誰が偽善者か、そして犯人は誰なのか、道徳観とどうしようもない状況での行動と、正義と悪、そもそもその悪とは何か…など、倫理観をしっかり持っていないと、自分の心がどこかに持って行かれそうにさえなります。
ラストの25ページは一気に時間を空けずに読みました。途中何度か行きつ戻りつして、状況を確認しながら。想像を絶する展開に、自分の頭を整理する時間も必要ですが、それすらももどかしい。とにかく、そうだったのかと唸るばかり。
「心地よい結末」が好きな方にはあまりお勧めは出来ませんが、社会の歪みに巣くう問題を垣間見たいという人は、是非読んでみてはいかがでしょうか。
文責: 大久保